コラム

高齢者施設でのサイクリングVR活用事例

運動不足とレクのマンネリは「意欲低下」と「現場負担」を同時に招く

高齢者施設の運営で悩ましいのは、運動機会を用意しても「参加者が固定化する」「途中で飽きてしまう」「声かけしても腰が上がらない」といった状況が起こりやすい点です。体操や機能訓練を定期的に実施していても、日々の体調変動が大きい高齢者にとっては“やる気の波”が生まれやすく、継続が難しくなります。
その一方で、運動習慣の有無が身体面だけでなく認知・心理面の状態と関連することを示す報告もあり、運動を継続しやすい環境づくりは多くの施設で共通課題です(※医療的効果の断定ではなく一般的傾向)。Source
さらに現場では、レクリエーション担当者が毎週の企画に追われ、「準備と片付けに時間がかかる」「盛り上げ方が属人化する」「安全管理を優先すると刺激が減る」といった“あるある”が積み重なります。新しい取り組みを探しても、運用が難しそうだと感じて導入検討が止まってしまう——この停滞感こそ、運動・レク領域の改善が進みにくい理由の一つです。

従来の運動・レクリエーションが抱える限界:安全と楽しさのジレンマ

体操や単調な運動プログラムは、標準化しやすく安全に回しやすい反面、内容が似通いやすく「また同じ」という印象になりがちです。特に、動作が簡単であるほど達成感が見えにくく、参加意欲が下がりやすい傾向があります。逆に、負荷や難易度を上げると、体力差・認知機能差がある利用者の参加が難しくなり、結果として“できる人だけがやる”形になりやすいのも現場の悩みです。
屋外活動は気分転換として非常に有効ですが、天候や季節、感染症対策、移動導線などの制約が多く、日常的に安定運用しづらいのが実情です。外出企画を成立させるには、転倒・迷走・体調急変への備えとして見守り人数の確保が必要になり、介護度が高いフロアほど実施のハードルが上がります。
その結果、施設の活動は「安全だが刺激が少ない室内レク」か「刺激はあるが継続しにくい外出企画」かの二択になりやすく、職員の企画負担と安全管理のプレッシャーが増えていきます。ここで求められるのは、施設内で安全に実施でき、なおかつ“体験として楽しい”要素を持つ新しい選択肢です。そこで注目されているのが、介護 VR 運動というアプローチです。

サイクリングVRという新しい選択肢:漕ぐ動作が風景体験に変わる

サイクリングVRは、ペダル運動(自転車の漕ぐ動き)と実写VR映像を組み合わせた運動・レクリエーションです。難しい操作が必要なイメージを持たれがちですが、仕組みはシンプルで、ペダルの回転速度に合わせてVR映像がリアルタイムで連動します。漕げば進み、ゆっくり漕げば景色もゆっくり流れるため、利用者にとって「自分の動きが反映されている」ことが直感的に分かりやすいのが特長です。


映像は日本各地の景勝地や海外の絶景などを実写で体験でき、まるで現地を走行しているような没入感を得やすい設計です。体操のように“動作だけ”にならず、「風景を見に行く」という目的が生まれることで、運動への心理的ハードルが下がりやすくなります。


また、高齢者施設で重要なのは安全性と安心感です。サイクリングVRはVRゴーグルを使わず、3面の大型ディスプレイで体験できるタイプも用意されており、視界の広がりを確保しながら、装着によるストレスや不安感を抑えやすい点が現場向きです。
身体面だけでなく、会話が生まれることも価値の一つです。風景が変わることで「ここ行ったことがある」「昔は旅行でね」と思い出が引き出され、周囲の利用者や職員とのコミュニケーションのきっかけになります。運動の提供が“指導”だけにならず、“体験の共有”になりやすいことが、サイクリング VR 高齢者活用が広がる理由です。

高齢者施設での活用事例:日常の一コマが「またやりたい」に変わる

施設内での使い方は、主に「機能訓練の導入」「午後レク」「イベント」の3パターンで組み立てやすいのが特徴です。たとえば午前中、準備運動のあとに10分だけサイクリングVRを取り入れると、運動の導入が“作業”ではなく“体験”になり、参加のきっかけを作りやすくなります。


午後のレクでは、画面に映る景色を見た瞬間に表情が変わる方が出てきます。最初は「自転車はもう無理」と遠慮していた利用者が、ゆっくりでもペダルを回せたことで達成感を得て、「次はどこへ行けるの?」と前向きな言葉が出る。別の利用者が「そこ、若い頃に行った」と話し始め、周囲が自然に集まって会話が広がる。こうした変化は、数値よりも現場の空気を動かします。


運営側のメリットも現実的です。サイクリングVRは体験映像を外部モニターに出力でき、周りの利用者も一緒に見られるため、レク担当者が“場を作る”負担を軽くしやすい仕組みです。

「今日は沖縄」「次は海外」など、映像テーマを変えるだけでも新鮮さが出るため、ネタ切れ感が起こりにくいのもポイントです。
また、短期イベントのレンタル利用から常設まで対応できるため、いきなり大きく変えるのではなく、まずは行事や体験会で反応を確認し、手応えがあれば定期レクに組み込む、といった段階的な導入が可能です。

まとめ:運動・レク・QOLを同時に底上げするための現場的な導入ステップ

運動を“続けられる形”にするには、正しさや必要性だけでなく、本人が「やってみたい」と思える体験設計が欠かせません。運動習慣と認知面の状態の関連が示唆される報告や、週3回以上の運動習慣が認知症リスクの低さと関連するという紹介もあり(※個別の効果は断定不可)、日常の活動量を確保する取り組みは施設価値に直結します。


サイクリングVRは、施設内で安全に運用しやすく、レクリエーションとしての新鮮さも担保しやすい仕組みです。小規模に始めて運用感を掴み、対象者や時間帯を最適化していくことで、導入の心理的ハードルは下げられます。

より詳しい活用方法、機器構成、運用イメージ(イベント/常設)を知りたい方は、サービス紹介ページをご覧ください。
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