防災訓練は「実施」できているのに、なぜ不安が残るのか?

防災訓練を毎年きちんと行っている自治体・企業・学校や各種施設ほど、現場では一度はこう感じたことがあるはずです。「この訓練で、本番に通用するのだろうか?」と。避難経路を歩き、点呼を取り、想定どおりに終了する。記録は残り、体裁は整う。でも、参加者の危機意識は上がり切らない。担当者も「次はもっと実効性を上げたい」と思いながら、結局は同じ型に戻ってしまう――この繰り返しが、訓練のマンネリ化を生みます。
地震災害は、訓練の都合に合わせて起きてくれません。揺れ方も、時間帯も、発生場所も、組織の稼働状況も毎回違います。だからこそ、防災訓練の質を上げるには、単に回数や参加率を上げるのではなく、**「現実の条件に近い状況で、判断を練習できるか」という視点が欠かせません。そこで近年、訓練設計の中心に入り始めているのが“体験”です。
従来型の避難訓練・座学の限界:「想像力に依存する訓練」になりやすい

避難経路確認や読み合わせ、注意事項の共有は、組織の防災にとって必要な土台です。ただし、それだけでは“実際の地震時の行動”に届きにくい理由があります。
第一に、現場が安全配慮を最優先せざるを得ないことです。転倒や将棋倒しを避けるため、訓練は落ち着いた状態で進行します。結果として、参加者は「落ち着いて歩けた」という成功体験を得やすい反面、揺れている最中の混乱、視界のブレ、音の圧、判断の遅れといった本番の要素を体に取り込めないまま終わります。
第二に、「分かっているつもり」が生まれやすいことです。手順を頭で理解できても、地震発生の瞬間に反射的に身を守れるか、火気や二次災害のリスクを同時に意識できるかは別問題です。訓練が想像力頼みになるほど、経験値の差が出ます。若手は災害経験が少なく、ベテランは「過去の経験」が逆に判断を固定化することもある。ここに、訓練が“行動の訓練”ではなく“確認の儀式”へ寄ってしまう落とし穴があります。
現実の地震リスクは重く、例えば内閣府の「首都直下地震」の被害想定では、建物倒壊による死者が最大約1万1千人といった推計が示されています(想定条件により変動)。こうした数字は恐怖を煽る材料ではなく、「訓練を“現実に近づける”理由」そのものです。
VR地震シミュレータで何が変わる?「その瞬間の判断」を安全に訓練できる

VR地震シミュレータがもたらす変化は、防災訓練を“手順の確認”から“判断の訓練”へ引き上げられる点にあります。VR(仮想現実)は、危険な状況を現実に起こさずに再現できるため、地震の揺れだけでなく、視界の揺れや環境音、空間の違和感を含めて体験し、行動の質を磨くことができます。
このVR地震シミュレータは、内閣府が発表した地震シナリオに基づき、首都圏では首都直下型、西日本では南海トラフ地震、その他地域では近隣の活断層を想定し、地域の地盤特性や建物構造を考慮した振動シミュレーションを再現します。さらに、全国地図上の250m四方ごとに振動データが設定され、市区町村単位で全国各地の震度や揺れ方を体験できる仕組みです。

つまり、「どこかの一般論」ではなく、自分たちの地域・拠点で起こり得る揺れを、自分ごととして捉えやすい設計になっています。
また、体験の解像度を上げる機能として、部屋タイプ(オフィス、スモールオフィス、リビング、学校など)や、建物全体の階数・体験階数を指定できる点も特徴です。これにより、同じ地震でも「どの階で」「どんな空間で」どう危険が立ち上がるかを具体化でき、訓練後の振り返りが「注意しましょう」ではなく、「この場所ではこの判断が必要」に変わります。
自治体・企業・学校・高齢者まで:活用シーンが広いから、訓練が続く

体験型の訓練が強いのは、「一度きりのイベント」で終わりにくい点です。自治体なら住民向け啓発イベントや庁内研修、企業ならBCP訓練・拠点別研修、学校なら防災教育、施設なら職員研修と利用者の安全配慮を含めた初動確認――同じ仕組みでも目的と対象を変えながら継続できます。
加えて、体験は参加者の会話を生みます。訓練後に「自分はあの時こう動いた」「この通路は詰まりそう」「棚の固定が甘い」と具体的な反省が出て、担当者が改善につなげやすくなります。防災は“知っている人が正しい”ではなく、“全員が同じ状況を共有できる”ことが強みになります。その意味で、VR地震体験は組織内の共通言語を作りやすい手段です。
運用面でも、現実的に検討しやすい条件が揃っています。従来の起震車は導入に約5,000万円以上を要することが一般的でしたが、VRS-100は本体とオプションを含めても500〜600万円程度で導入可能としています。
リースやレンタルも用意されており、単年度予算やイベント活用から始める選択肢を持てます。
さらに、軽量・省スペースで移動・設置が容易、専用車両不要で軽バンや台車カーゴで搬送可能、設置に専門スキル不要、操作画面も分かりやすいという設計は、担当者の心理的ハードルを下げます。
これからの防災訓練は「体験→振り返り→改善」が当たり前になる

防災訓練の目的は、実施回数を増やすことではなく、災害時に“迷わず動ける確率”を上げることです。そのためには、訓練が年中行事として消化される構造から抜け出し、体験を起点に改善サイクルを回す必要があります。
具体的には、①VR地震体験で「実際に自分がどう動くか」を可視化し、②その場で短い振り返りを行い、③設備・導線・役割分担・備蓄の改善に落とし込む。この繰り返しが、訓練を“成果が積み上がる活動”に変えます。恐怖を煽らずに現実と向き合い、必要な備えを具体化する――そのための手段として、体験型防災訓練は今後さらに標準になっていくはずです。
VR地震シミュレータの具体的な仕組み、想定の作り方、導入形態(購入・リース・レンタル)や活用のイメージは、こちらで確認できます。
VR地震シミュレータ Source
